生活困窮者支援や災害時の食料確保に向け設立を目指す「フードバンクあまみ」の設立推進委員会は24日、奄美市社会福祉協議会で研修会を開いた。島内の社会福祉関係者ら約30人が参加。NPO法人フードバンクかごしま代表理事の原田一世氏、県大島支庁瀬戸内事務所長の印南百合子氏の講演があり、奄美での取り組みの可能性を議論した。
フードバンクとは、寄贈された食品などを福祉施設や生活困窮者の支援団体に届ける活動。フードバンクあまみは社会福祉法人大津福祉会(奄美市)の大津幸夫理事長、㈱グリーンストア(同)の里泰慶社長が設立推進委員会共同代表となって活動準備を進めている。
研修会は初開催。講演で原田氏は、フードバンクの運営について▽食品を提供する企業にメリットがあること▽若者が携わること―などポイントを指摘。「活動に携わる企業、団体との相互理解、信頼関係の構築は大事」と語った。
一方で「フードバンクは日本で15年以上取り組まれており、新たな活動としてのインパクトは弱い」「農水省が入出庫管理や衛生監査に厳しいルールを課している」など、設立に向けてのハードルも示唆。「フードバンクは目的ではなく手段。設立には社会的な機運の高まりが重要」と呼び掛けた。
印南氏は行政の立場から、災害を想定した体制づくりを要請。「奄美は台風のたびに食料がなくなる。行政と民間が協働して活動を展開できればいい」と話した。
質疑応答では、参加者から「いきなりフードバンクと言われても、理念や計画がよく分からない」「民間に資金的な余裕はない。行政の支援が必要」など厳しい意見も。これに対し原田氏は「綿密な計画は必要。行政予算に頼るのではなく、小規模でも民間資金で賄える範囲で行うべき」と答えた。
設立推進委の里共同代表は「今回出た意見は真摯(しんし)に受け止め、今後活動内容の検討に生かしたい」と述べた。