鹿児島女子短期大学の竹中正巳教授らの調査チームが宇検村屋鈍で行った発掘調査で、約500~800年前の中世期(鎌倉~室町時代)に埋葬されたとみられる人骨1体が見つかった。住民説明会が15日に現地であり、竹中教授は「奄美大島南部の当時の人の生活を知る貴重な資料になる」と述べた。村側は歴史民俗資料展示室での保存や公開を検討するとしている。
人骨が見つかったのは屋鈍公民館の西側に隣接する「ヤマッグヮ」と呼ばれる集落共有地。調査チームは2016年にも、公共工事前の試掘調査で人骨の一部が見つかったことから現地で発掘調査を行い、同時代の男性1体、女性3体の人骨を発見している。
調査チームは墓域の広がりの特定と人骨資料の収集を目的に再調査に乗り出し、村教育委員会などの協力で今月9日から発掘作業を進めた。
人骨は深さ約80㌢の地層に全身が残り、うつぶせで膝を折り曲げた状態で出土した。歯がきれいな状態で残っていることなどから20~30代くらいの若い成人とみられる。同じ地層から出土した中国産磁器や徳之島産カムィヤキ陶器のかけらから埋葬時期を中世期と推察した。炭素測定などで年代の確定を進める。
住民説明会には約30人が参加し、竹中教授が現地の発掘調査の概要を説明した。屋鈍集落の崎初夫区長(66)は「昔は墓地として使われていた場所。人骨がきれいに見つかったことが不思議でならない。集落の遺産としてPRしたい」と話した。
竹中教授は「中世期の奄美大島南部の人骨資料は少ない。当時の人たちの顔や体の特徴や生活習慣が分かってくる。北部や喜界島と比較できると面白い」と話した。