2017年度かごしま「教育の情報化」フォーラム(県教育委員会主催)が31日、鹿児島市のかごしま県民交流センターであった。講演や四つのテーマ別分科会があり、遠隔合同授業分科会では徳之島町内の3小学校で15年度から取り組んでいる文部科学省のICT(情報通信技術)実証事業について、母間小学校の赤崎公彦教諭が3年間の成果を発表。テレビ会議システムを活用した複式学級指導のモデルケースを示し、県内小規模校での実現に期待を寄せた。
フォーラムはデジタル教材やICT機器の活用などを通じた教職員の指導法改善の推進を目的に開催。講演のほか、遠隔合同授業、プログラミング教育、情報モラル教育、ICT機器活用をテーマとした分科会があった。
実証事業を行う母間、花徳、山の3小学校はいずれも複式学級を保有することから、3校の授業を互いに実況中継して、複式指導の改善に生かすことを実証の中心とした「複式双方向型」指導モデルの確立に取り組んだ。本年度は国語、道徳、外国語活動など5教科16単元で計46時間の合同授業を実施。分科会での発表は同システムを活用して同校で実施した。
赤崎教諭は2カ月に1度のペースで▽相互授業参観や授業研究などを行う3校合同研修会の開催▽1教室で二つの遠隔授業実施により各校の教諭が1学年を主に担当する複式指導モデルの確立―など、複式双方向型授業の取り組みを紹介。教諭と児童の対面時間や課題解決や児童同士による話し合いの時間増加などの効果、学習内容の定着などの検証結果も報告した。
赤崎教諭は「複式双方向型の遠隔合同授業を行うことで、児童の学びの広がりや教員の指導力向上が期待できる。小規模校同士で高め合ってきた成果が、県内の実践事例として広がっていくことを期待したい」と話した。