奄美市議会(師玉敏代議長)は6日、早期の空き家問題解決を求める政策提言書を朝山毅市長に手渡した。本年度発足した政策立案推進会議(竹山耕平座長、委員7人)による初の提言。地域の実情に応じた条例制定や除却費用補助など11項目を盛り込み、防災や防犯、利活用といった幅広い観点から必要な施策を講じるよう促した。竹山座長は「会派を越えて全会一致で決めたテーマ。行政としても議会の思いをくんでほしい。予算編成時期に重なったこともいいタイミングになったのでは」と語った。
推進会議は市議会の政策立案機能強化を目的に設置された。年1件ペースで当局に対する政策提言や政策条例をまとめる。議会の総意としての重みを持たせるため、会議の決定方法を原則「全会一致」とした点も特徴だ。
初年度は空き家・空き地対策をテーマに設定し、担当課や関係機関へのヒアリング、地域代表者アンケート、現地視察を行いながら協議してきた。
提言書によると、奄美市の住宅総数に占める空き家率は17・4%(2013年)。全国13・5%、県17%をいずれも上回る。
提言では実施体制の整備として▽空き家問題に特化した部署設置▽空き家対策特別措置法に基づく条例制定―を要望。さらに現状把握のため▽実態調査とデータベース化▽未登記物件や相続人不明物件の届け出義務化▽地域、関係機関、専門家等との連携強化―を求めた。
支援策では▽除却費用補助▽除却後の固定資産税減免▽空き家を市に譲渡可能な制度創設、ふるさと納税を活用した民泊施設への改修など有効活用策の検討▽空き家バンク制度の見直し―を提案した。
一方で公費投入に関しては、所有者による自主的除却の原則から「支援対象には慎重な検討を」と付け加えた。
このほか市民の意識醸成、急傾斜地への対応を求めた。
6日は全員協議会で提言内容を報告後、師玉議長から朝山市長へ提言書が手渡された。
当局はこれまでの会合で、来年の3月議会定例会に関連条例案を提案する意向を示している。朝山市長は「提言の趣旨を尊重し、対策に向けて頑張りたい」と話した。