大島紬の次世代への技術継承を目指し、若手職人たちがインターネットで支援金を募った「本場奄美大島紬NEXT(ネクスト)プロジェクト」(南晋吾プロジェクトリーダー)の新作紬が完成した。25日は紬を1反分に切り分ける「はさみ入れ」の工程が奄美市名瀬の田畑絹織物であり、支援者の1人が来島して若手職人と共に完成を祝った。
プロジェクトチームは大島紬の需要拡大や若手後継技術者の育成などを目的に、本場奄美大島紬協同組合青年部会(黒田康則部会長)に所属する男女11人で結成。インターネット上で活動資金を募り、全国81人から約300万円の支援金が寄せられた。
プロジェクトは図案作成から機織りまでの約40工程全てを若手職人で行うことが特徴。デザインは伝統模様「龍郷柄」を基に柄のサイズを細かくし、あえて色を入れずにモノトーン調でまとめて男女の区別なく使えるようにした。
主に機織りを担当した森千晶さん(34)は「通常は分業化している糸の加工に参加したり職人の先輩方にたくさんの助言をいただいたりして、とても勉強になった」と語った。
支援者の1人で東京都在住の松田知美さん(40)は、糸の加工段階からプロジェクトを見守った。この日は1匹(2反分)単位で織り上げていく紬を1反分に切り分ける工程のために来島。反物にはさみを入れ、プロジェクトの成功を祝った。松田さんには返礼品として新作紬1反が贈られる。
プロジェクトでは新柄18反を作成し、3反を返礼品に使用する。黒田部会長(39)は「今後は販売ルートの新構築も必要。若手が難しい技術に挑戦できる土壌と紬で生活できる仕組みを作りたい」と話した。