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台風被害、農業・漁業・観光への影響大 与論町

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クリーンセンターに山積みになった災害ごみ=7日、与論町

クリーンセンターに山積みになった災害ごみ=7日、与論町

 台風24号襲来から1週間がたった与論町では7日、各地で被災した建物の修理やがれきの後片付けなどが本格化。一方、電話など通信設備の不具合や建築資材の不足などが住民生活の障害となっている。風評被害を含めた産業への影響を懸念する声も聞かれた。

 

 基幹作物の一つサトウキビは、潮風害による倒伏や葉の裂傷など島内全体で大きな被害が想定されている。キビ農家の大山行則さん(67)=城=は「今年は全滅、収量ゼロだと覚悟している。収穫は12月からだが、、今から葉が出ることはないだろう。腹を立ててもしょうがない。自然に抵抗する気も勝つ気にもならない。命さえあれば」と自身に言い聞かせるように話した。

 

 漁業は相次ぐ台風襲来で漁に出られない日が続いた。与論町漁業協同組合の阿多美智雄組合長(58)は「今回は10日間ほど漁に出られなかった。本年度は接近する台風が多く、漁獲量が激減した。これは漁師の生活にも直結する。せっかく獲れても、定期船が抜港すれば出荷もできない」と厳しい現状を訴えた。

 

 観光業への影響も懸念されている。複数の宿泊施設で客室の損壊被害などがあり、客の受け入れを停止している施設、あるいは営業しているものの、固定電話がつながらないことで予約が難しくなっている施設もある。

 

 ヨロン島観光協会の町岡安博事務局長(53)は「心配なのは風評被害。5、6年前の台風襲来後もそうだったが、観光できないのではと、来島を控える人がおり、現に問い合わせの電話もきている」と懸念材料を示した上で、「来島者によるSNS(会員制交流サイト)での大げさな情報拡散などもやめてほしい。普通通り営業している店や宿泊施設もあり、海も楽しめるので、ぜひ来島して」と呼び掛けた。

 

 町によると、6日までに被災住民から町への住宅相談はなく、全壊した1世帯は空いていた町営住宅に入ったほか、親戚宅などに身を寄せているもよう。

 

 町総務企画課の沖島範幸課長は「台風24号では甚大な被害が出た5年前の台風と同じぐらいの風速が出ていたが、5年前よりは被害が少なかった。家を新築したり、トタンの使い方など工法を工夫したりしたことで教訓が生きたのでは」とする一方、「住宅不足、電話・通信設備の弱さを痛感している。今島内に空き住宅はほとんどなく、次の大規模災害があれば住宅に困ることは確実。また、電話線が切れると、防災無線、個別無線機が使えず、携帯電話によるエリアメールも届かなかった。災害に強い町づくりに向けた課題だ」と力を込めた。

定期船が寄港し、食料などの物資が届いた与論港=7日、与論町

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