指紋情報とクレジットカード情報をひも付けするキャッシュレスシステム「Touch&Pay(タッチアンドペイ)」の実証に向けたキックオフミーティングが28日、奄美市名瀬の奄美大島商工会議所であり、導入を進める出席者から「世界的な機運に乗り、旅行者の消費拡大を狙いたい」との声も上がった。2018年度は奄美市と龍郷町での実用化を進める。
タッチ&ペイは㈱LIQUID(リキッド、東京都千代田区)が開発した支払いシステム。利用者はクレジットカードやパスポートの情報を登録することで、指紋認証での決済や宿泊施設のチェックイン、イベントのエントリーなどが可能になる。
キャッシュレスシステムの推進は経産省の「IoT活用おもてなし実証事業」の一環。リキッドの林圭亮シニアマネジャーは「キャッシュレス化は世界的な流れ」とした上で「自治体が発行する独自通貨の登録や金作原への入山管理など、奄美ならではの活用方法を共に考えたい」と話した。
奄美大島実証事業の期間は18年1月~19年2月。実証中はクレジットカードなどの決済手段によって通常0・5~2・98%かかる手数料が免除される。店舗側は専用アプリをダウンロードしたタブレット端末と市販の指紋読み取り機を設置し、精算は設置店とリキッド間で行う。
事務局の㈱南西テレワークセンター(奄美市名瀬)の南郷仁志取締役は「まずは国内旅行者からも要望の多いクレジットカード決済の普及を軸に進める」として18年度内に200人の登録を目標に掲げた。19年度以降は他自治体にも範囲を広げるという。
ミーティングには経済団体や自治体職員ら約20人が出席。セキュリティー面での安全性や島内在住者の利用などについて質問があり、関係者は「指紋の画像そのものではなく特殊な数値に置き換えたデータを利用するため、もし第三者に流出したとしても利用者情報の復元は不可能」「来日旅行者を想定しているが、在住者も利用できる」などと回答した。