喜界町の湾漁港で弱々しく漂っているアオウミガメを町職員が見つけ、地元住民らの協力を得て2日がかりで無事救出した。ウミガメの口からは糸に絡まった海藻の塊が出てきたことから、飲み込めずに食道に詰まったとみられる。救助されて元気を取り戻したウミガメの姿に、立ち会った住民らは胸をなで下ろした。
アオウミガメは甲長約50センチ、重さ16キロで、雌雄は不明。町企画観光課長の富充弘さん(53)が見つけ、漁協関係者らに救出の協力を求めた。
1日午後に持ち越された救出作戦では、漁港近くのスーパー提供の魚の切り身を餌に使用。住民約10人が見守る中、1時間後、ゆっくりと近づいてきたウミガメを網で引き上げることに成功した。
ウミガメの首元には、ワームと呼ばれる疑似餌と釣り針が絡まっており、口から出ていた糸を引っ張ると海藻の塊が出てきた。救助を見守った同町の高坂嘉孝獣医師(66)は「糸に絡まった海藻を飲み込めずに食道に詰まったのではないか」と分析した。
ウミガメは衰弱していたが、高坂獣医師の処置で元気を取り戻し、手足を勢いよく動かした。第1発見者の富さんは「助けることができてよかった。海に帰れるよう回復を祈る」とほっとした様子。
アオウミガメは同町早町にある喜界島サンゴ礁科学研究所で経過観察をした上で海に返す予定だという。