NHK大河ドラマ「西郷(せご)どん」の放送最終回に合わせたパブリックビューイング(PV)イベントが16日、龍郷町のりゅうゆう館であった。ドラマ放送に先立って出演者や制作陣がステージに登場し、異例の長期となった3週間の奄美ロケや1年間の撮影を振り返ってトークを繰り広げた。里さんは「今までになく奄美が注目された年だった。これからも歌を通して全国に奄美を伝えていきたい」と語った。
イベントは同町「西郷どん」プロモーション実行委員会主催。里さんは沖永良部島での島編撮影時、西郷隆盛役の鈴木亮平さん、愛加那役の二階堂ふみさんと島唄を練習したエピソードを紹介。「撮影は緊張したが、唄が気持ちを和らげてくれた」とほほ笑んだ。
劇中歌を担当した唄者・前山真吾さんは「島唄を含め、奄美の文化や歴史がここまで細やかにドラマで紹介されたことは無かった。西郷さんの人間の大きさを改めて感じたとともに、根底に奄美があることを誇りに思う」と語った。
オープニング映像の制作チームL・S・W・F(青木筆さん、中村豪さん、土屋尚幸さん、大島賢一さん、緑優人さん)は未公開の写真や映像を紹介し、撮影時の裏話を披露した。
演出を担当したNHKディレクターの盆子原さんは島編で愛加那が西郷の手を引くシーンについて「奄美の女性たちの刺青(ハヂキ)をさげすんでいた西郷がその手に引かれて島を知り、魂の再生の第一歩を遂げるというテーマが込められている」と語った。
同演出担当の石塚嘉さんは「里さんの唄を目の前で聞き感動。(ドラマでも使われた)行きゅんにゃ加那が大好き」と笑顔を見せた。
PVイベントは鹿児島市与次郎の市民ホールでもNHK鹿児島放送局と観光かごしま第キャンペーン推進協議会主催で開かれ、鹿児島会場に登場した主演の鈴木亮平さんらから奄美会場へメッセージ映像が流れる場面もあった。
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鹿児島市の会場では、9706通の応募から選ばれた約2千人がトークショーに耳を傾けた。鈴木亮平さんは「ラストサムライたちがどんな思いで城山に散っていったのか。その思いに少しでも近づけるよう、熱と覚悟と愛情をみんなで持ち寄って作った」と最終回への思いを語った。
鈴木さんは観客から拍手で迎えられると、「おやっとさぁ(お疲れさま)」と両手を上げて応えた。印象に残った場面を聞かれ、貧しい農民の娘ふきが借金のかたに連れていかれる第2話を挙げた。
「吉之助の原点になったシーン。自分の無力さと闘い、みんなが腹いっぱい飯を食える世の中にしたいという思いを強くしていった」と振り返った。
村田新八役の堀井新太さんは劇中で使われた曲をアコーディオンで演奏。西郷らが眠る南洲墓地を前日に訪ね、「撮影が無事に終わったことを報告した」と話した。鈴木さんとの共演シーンを再現し、セリフを披露する一幕もあった。