宮沢賢治の作品を題材にした創作舞台「注文の多い料理店」が7日夜、与論町の砂美地来館で上演された。「舞台芸術の学校」代表の小池博史さんが演出を手掛け、これまで世界32都市で上演された名作。来場者はハイレベルな舞台に酔いしれ、舞台芸術の素晴らしさを再認識した。
文化庁と㈱サイが共催した。文化庁の戦略的芸術文化創造推進事業を活用し、本年度から5カ年計画で全国を巡るツアーの一環。本格的な舞台芸術公演を見る機会が少ない離島やへき地の人たちに作品を鑑賞してもらい、芸術活動の普及を図る目的。
この日は午後7時半開演。猟師役の3人の出演者が約80分間、一度も舞台袖にはけることなく、踊り、歌い、芝居を続ける。せりふはほとんどなく、身体表現や音楽、オブジェなどさまざまな要素が絡まりながら物語は進んだ。
観客はエネルギーあふれる舞台に見入り、上演後は小池さんと出演者に大きな拍手を送った。
与論小6年の川畑日藍子(はらんこ)さん(12)は「注文の多い料理店は本で読んだが、全く予想と違う舞台だった。とても迫力があり怖かった」と話した。
小池さんは「怖い、面白い、意味が分からないなど感じ方は人それぞれ。舞台を見てくれた人の心の中に何か一つでも残ってくれれば」と語った。