奄美市名瀬の朝日中学校(今村典盟校長、生徒309人)で14日、全校生徒を対象に農林水産省門司植物防疫所名瀬支所による出前授業があった。テーマは「植物防疫」。生徒は植物防疫の仕事や奄美大島での病害虫対策などを学んだ。
講師の里山雅人同支所検疫主任(37)は「植物防疫は日本の農業と緑を守る仕事」と話し、▽空港や港で植物の輸入検査▽特殊な病害虫の国内でのまん延を防ぐ―など仕事内容を説明した。
奄美の病害虫の事例としてミカンコミバエを取り上げ、▽体長7㍉ほどで、果樹・果菜類の実に幼虫が寄生する▽日本では1919年に沖縄で初めて確認され、南西諸島や小笠原諸島で発生していた▽国などが68年から18年間で約50億円をかけて根絶させた―などと説明した。
2015年に奄美大島でミカンコミバエが確認され、国と県などが15年12月~16年7月に農産物の移動規制などの緊急防除を実施したことも紹介した。
ミカンコミバエは6月に入り、5日に徳之島と沖永良部島、8日に奄美大島で見つかった。里山さんは「現在、コミバエを捕まえるわなの設置や発見地周辺の果実の検査などを通して調査を進めている」と話した。
3年生の田中胡斗龍(たなか・ことろう)さん(14)は「植物防疫は日本の植物を守る大事な仕事だと思った。ミカンコミバエが発見されてタンカンを食べるのが怖いと感じていた。懸命に防除していると聞いて安心した」と話した。
講話に続いて標本観察もあり、生徒はミカンコミバエの標本などを虫眼鏡や顕微鏡で観察した。