瀬戸内町が同町西古見・池堂地区に検討しているクルーズ船寄港地誘致計画に関して、町は23日までに、県に提出していた支援、協力を求める要望書を取り下げる方針を固めた。同日、県へ取り下げ書を発送した。
同計画は、国土交通省が昨年8月、大型クルーズ船寄港地開発に関して、池堂地区を含む奄美群島9カ所を候補地に挙げた調査結果を受けて動きだした。西古見集落と町内4団体から誘致実現に向けた取り組みを求める要望書を受けた町は昨年12月、「民意が整っている」として県に要望書を提出していた。
しかし今年に入り、うち2団体が要望書からの署名削除を決めたほか、誘致に反対する住民団体が発足。加計呂麻島の集落からは計画の説明を求める要望書が提出されるなど町は混乱した。
県への要望書について、町は3月町議会定例会や今月16日から町内各地区を回って開催している町政懇談会で、「既に体を成していない」「計画は原点に戻った」などと説明していたが、町民からは「なぜ取り下げないのか」などと要望書の存在を不安視する意見が寄せられていた。
現段階で取り下げを決めた理由について、企画課の眞地浩明課長は「事務手続き上、要望書を取り下げないことが町民の信用を失っているのであれば、取り下げる必要があると判断した」と述べた。